スペシャルインタビュー
住宅業界のトップランナーを徹底解剖

価格で集客し、住宅性能と社の姿勢で成約する!客足の絶えない工務店

北海道/株式会社 藤城建設
代表取締役社長 川内 玄太さん

「ウッドショックだって、伸びているところは伸びていますよね。うちも、コロナ禍だとかいろいろあったなかで新築の受注数は減っていないんです」と語るのは、2024年8月に株式会社藤城建設の代表取締役社長に就任された川内玄太さん。ちょうど入社間もない頃にローコスト高性能住宅「ゆきだるまのお家」の販売が開始され、社としての大きな転換期を経験して今に至ります。今も業績を伸ばし続ける藤城建設、その独自の着眼点とは。

#ローコスト高性能住宅 #マルチブランド戦略 #設計営業スタイル #LIXILメンバーズコンテスト



ローコスト高性能住宅の大ヒットから多ブランドへ

もともと3000~3500万円ほどの価格帯で注文住宅をメインに手がけていた藤城建設が、768万円からという驚きの価格で「ゆきだるまのお家」の販売を開始したのは、約10年前のこと。諸経費を入れても税込1350万円ほどという価格を実現しながらZEHビルダーにも認定された高性能住宅は話題を呼び、受注残ゼロから翌年は50軒以上の契約を受注するに至りました。

まさにV字回復。それまで3000万円を超える注文住宅をメインに手がけていたこともあり、社員のなかには拒否反応もあったと語るのは、当時、まだ入社間もなかった現社長の川内玄太さんです。

「スタッフはブーブーでしたよ。それで辞めていった人もいたと思います。そのうえ、私も含めた4名の設計部隊が営業もするという話に。最初は私も困惑しましたが、トップがそう言うならまずやってみようと。むしろ、面白そうだなと興味がわきました。ローコストと言っても、1000万円だってお客さまにとっては高額です。安いというのは勝手な思い込みだという話を聞いて、私の中ですごく腑に落ちたのを覚えています」

ただの安かろう悪かろうではなく、それまで蓄積してきた藤城建設の知見と技術力を結集し、生み出された「ゆきだるまのお家」。そこには、まず価格で顧客を呼び、実際の性能の高さや考え方を知ってもらうということで成約に至るという流れがしっかり構築されていました。

「この家は急にポンとできたわけじゃなくて、今までの数十年の蓄積から、これをやっちゃいけないというポイントと、これはやったほうがいいというポイントを、ぎゅっとシンプルにした結果なんですね。技術はもともとあったので、それを整理しただけ。だから、『家は欲しいんだけど払えないんだよね』という方が、払えそうな家があるみたいというところから始まって、『実は安いだけじゃなくて、熱効率がよくて光熱費もしっかり安くなる住み心地のいい家が低価格で手に入るんだ!』となるわけです」

さらに、藤城建設は新たなブランドも立ち上げます。それが平屋専門店「平家製作所」。北海道にはほかになかった平屋専門のブランドとの両輪で、コロナ禍もウッドショックもものともしない盤石な2大ブランドとなりました。そして、北海道の厳しい環境下でも快適な暮らしを実現するロングライフデザイン住宅「NORTH LAND PRIDE」を立ち上げるに至ります。

コロナ禍には、どこの工務店も事前予約制となっていくなか、藤城建設はあえて予約制をやめ、世間の批判を覚悟で「いつでも来てください」というスタンスを選択。ふたを開けてみると、事前予約のハードルがないことで行列ができるほどの大盛況につながったといいます。

またWEB集客が進むに伴い、その流入元などをつきとめるための分析も必要になってきましたが、それをプロに任せずに自分たちで内製化することにこだわったそう。任せきりにしなかったことで、WEB素人ながら自分たちで知りたい情報やその効果を見ることができるようになり、いまでは最適化できているといいます。そうして独自の考えを貫き続けてきたことが、いまの結果につながっているのでしょう。

「ここ数年はずっと90棟ほどの棟数を維持しています。そのほかに、リフォームやリノベーションもちょこちょこやって、非住宅もやっているので、あわせて90~100棟ぐらいが手がけられるキャパになっている感じですね。それ以上は、いくらもらってもできない状況なので、安定して90棟前後ぐらいのお仕事を毎年受注できるようにしています」

他社と同じように建材の高騰で価格は全体的に30%ほど上昇し、もちろん抑える努力はしているが、それで客足が遠のくということはなかったとのこと。取材時は10月でしたが、もう翌年の6月まで工事で埋まっている状況だというから驚きです。

「なにより、売れていることこそがブランディングだ」という川内さん。「ゆきだるまのお家」も「平家製作所」「NORTH LAND PRIDE」の家も、売れれば売れるほどOB顧客の信頼を集め、口コミが増え、さらなる新規顧客の獲得につながっています。そして今後は、これまで毎年3棟ほどは手がけていたリノベ事業も、新たにブランド化して藤城建設らしい専門店をつくっていきたい考えもあるようです。


現在、藤城建設の事務所横にある「ゆきだるまのお家」の中沼モデルハウス。リアルな暮らしをイメージした30坪3LDK+書斎のつくりとなっている(クリックすると別タブで画像を開きます)



営業は設計が担当!独自のSNS戦略も大きなカギに

最初に建てたモデルハウスは、3か月ほどで売れてしまったという「ゆきだるまのお家」。それ以降、モデルハウスをどんどん建てては売却するという流れができていきました。

「建て売りをつくっている感覚はあまりなくて、オープンさせたら鮮度の高いうちに売って、また次のところに建てるという移動式のモデルハウスです。回転寿司だってそうですが、鮮度の高い新店をオープンすれば、まず人が来るじゃないですか。そこではきちんとエリアを分けて、東区をやったあとは次に北区とか、そのあとは江別とか。東区をやったあとにまた東区にはならないように、一生懸命新しいエリアを開拓しました」

最終的には東区メインになり、現在はモデルハウス3棟を常設していますが、方々で「ゆきだるまのお家」のブランドが浸透して客足は絶えなくなり、営業は設計部隊が担当するので十分になっているといいます。

「以前は、注文住宅をとりにいく営業マンがいました。でも、消費税の駆け込み需要ですごく忙しくなって大工も疲弊しているような状況のなかで、たぶん時代的な流れもあって、営業は設計が兼務することになったんです。でも、契約をとってくる営業マンがいなくなったことで、年が明けたら受注残ゼロという状況に。それで起死回生の『ゆきだるまのお家』だったようです」

今では設計営業スタイルがすっかり馴染んでいるという藤城建設ですが、そこにくるまでにも、いろいろな試行錯誤がありました。コンサルも入れながら何度もロールプレイングを重ねて、マニュアルの営業トークを自分たちの言葉にするまで練習をくり返したといいます。すると、成約につながる結果がついてきたと同時に、このスタイルが理に適っていることも実感することに。

「営業的なヒアリングもしながら、プランを見せてこんな感じにできますとか、この土地にこれは合いませんよとか、ここの間口は変えましょうかとか、その場でできるのは設計営業の強みですよね。設計の仕事に、土地探しや銀行の融資づけも覚えていくと、予算感もクリアしながら進められるので、お金が足りなくてまたふり出しに戻るという無駄もないんですよ」

営業トークで大事にしていることを、藤城建設では「円トーク」と呼んでいます。それは、家を購入してもらうには、まず予算ありきという基本中の基本に立ち返った考え方です。

「お客さまの予算である、土地、建物、諸経費の3つを、円の中にきれいにまとめるのですが、それは、いままで支払っていた家賃と同じくらいの予算にまとまる円の大きさなんです。これを守っていれば、ご予算にあったお家づくりができる。お金のことと建物と土地のこと、全部が見えながらわかりやすく対応させていただけるので、お客さまにも『一番説明がわかりやすかった』と言っていただけます」

いろいろな工事項目や消費税など、複雑な計算のあとに提示される住宅の見積もり書はお施主さまにとってわかりにくい部分もあり、そのあたりをシンプルにしたのがこの円トークだといいます。

「なんか、無駄な時間を使って希望をいっぱい伝えた結果、5000万円ですねって言われちゃうんですけど。うちの場合は、最初から『4人家族で1人あたりだいたい8坪くらい使うので30坪ぐらいがちょうどいいと思います』『その家の企画プランは2000万円ほどでできるんです』って話から始めて、『あなたのお家づくりは円の大きさで言うと3000万円なので、残りの900万円で土地を探せれば、基本的に大成功します』って話しを、もう少し時間をかけてお話ししていくんですね」

お施主さまには、「いくら借りられる」じゃなく、「いくら返すのか」が大事だという話をするという川内さん。

「だって、これ以上返しちゃったら遊びにも行けないし、外食もいけない、子どもの教育費も何もかも捻出できなくなりますよって。そうまでして家は建てるものじゃない。資金計画としてはこの円に収めるのが一番まともだと思うから、4000万、5000万でした、というのはそもそもその土俵に上がっていないんです。もし、うちじゃないところで2800万円でこれ全部できますよって言うところがあるなら、それは話を聞いたほうがいいんじゃないですか、とお話ししています」

基本の話をしているようで、意外とほかでは聞けない話なのかも知れません。客足が絶えないひとつの要因でしょう。

また販促費は年間で1000万以内にしよう、理想は500~600万円でやろうと決めたなかで見事理想の金額に抑え、そこで666組の反響があり、その80%に当たる500組ほどが来店。基本的に追客はせず、初回のお打ち合わせを重視しますが、その次回アポイント率は40%を超える月もあるといいます。

そしてSNS戦略にも、独自の考え方が。実は社長に就任する前、5~6年ほど前から広報を任せられてきたという川内さん、インスタグラムの運用にもその手腕を発揮していました。

「最初は一人で任されていたので、YouTubeやLINE公式も出てきたなかで、ひとりでもやり続けられるSNSはなんだろうと考えたとき、それがインスタグラムだったんですよ。大学時代から個人的にやっていたし、写真の投稿なのでそんなに複雑でもない。なにせ、タダなので。藤城建設はインスタ特化型でいこうということでスタートしました」

インスタグラムに力を入れている工務店は多いですが、その内容と戦略には独自のものがあります。

「何をアップしようとなったとき、家の写真とかもバシッと決めたものじゃなく、会社の日常だったり、社員だったり、いつもの藤城建設の風景を載せて、こんな会社ですっていうのを発信していったんです」

かしこまった写真ではなく、“ダサかわ”くらいがちょうどいい。それが藤城建設インスタのスタンスでした。いまではそれが成功事例として、庶民的な写真の良さをレクチャーするコンサルもいるほど。実際にインスタからの集客はかなりの数を占めるといいます。藤城建設の公式ホームページには、こんなキャッチコピーが。

~注文住宅から建て売りまで~暮らしに「よりそう」中沼のほっこり工務店

大手ハウスメーカーがたくさんの広告費をかけて宣伝するやり方と、同じことをしていても意味がない。あくまでも等身大の表現で、お客さまにも親しみやすく。その姿勢は徹底されています。川内さんが当時インスタについて改めて学んだとき、「フォロワーは7000人以上つくるべきだ」という話を聞いて、こんな戦略も打ち立てました。

「それまでの自分の感覚からすると、1つのアカウントで7000のフォロワーなんて異常な数で、よほど何かでバズったりしなきゃ無理だなと思って。じゃあ、何個もつくればいいんじゃないかということになったんです。ゆきだるまのお家と平家製作所のインスタ、土地のインスタ、それから大工さんや社員の人を見せるヒーローズってインスタもつくって、それぞれ2000フォロワーくらいになれば、合計して7000以上になるだろうと考えたんです」

1つで無理なら、力を合わせて。それぞれのアカウントから入ってくることで、相乗効果もありながら、拡散力につながっています。


現在5つほどのインスタグラムアカウントを運営している藤城建設。写真はいかにも広告らしく格好良く撮ったものより等身大の親しみやすさを意識し、それぞれのフォロワー数を合わせた宣伝効果を狙っている(クリックすると別タブでページを開きます)



会長自らが直に研修を行う「藤城大学」を開講!?

「何年か前、藤城(当時の社長、現会長)に藤城大学を開校しませんか?と言ったんです。藤城の考えは、講師を立てたりしてセミナーをしたりするんじゃなく、藤城自らが教えないと根づかないんじゃないかと思ったので」

それは、よくある動画によるレクチャーなどではなく、直に話すことに意味がある。それでこそ熱量がちゃんと伝わるのではないかというのが川内さんの考えです。

「動画で伝わるかな?って。それを効率生産性とかDX化とかいう言葉で惑わされちゃいけないような気がするんです。情熱を盛り込んだ上でのDX化ならいいですが、うわべだけのやり方ではやっぱり根づかない。根づくための一番の特効薬は、藤城自らがやるべきだと。たとえば目の前でペンをバーッと走らせて書いた内容だとか、ここが大事なんだよ!って叩いたりする、そこで初めてズンと響いたりするのに、それは動画では伝わらないですよね」

社長職を川内さんが受け継いだことで少し時間もでき、この藤城会長による「藤城大学」構想は数年越しに実現しました。今では新人研修といいう形で、新卒3年目までの社員たちや、パートから社員になった人を対象に藤城会長が自らそのイズムを伝える場を設けているそうです。

「新人研修としてしまうと20代の新卒しか受けられなそうな雰囲気があるのですが、うちの場合はパートさんだったり、僕も含めて中途採用もいっぱいいます。その中途組が藤城建設のことをもっとよく理解するためには、藤城から直接レクチャーを受けるのが本当は一番だと思うんです。それで年齢問わずの意味で『大学』と言ったんですけれど」

また社員の自主性を重んじ、社員研修としてある程度の実力がついた社員には、どこでも視察に行きたいところがあれば、海外でもなんでも好きに行けるよう研修費も捻出しています。そうした社風も社員のモチベーションを上げているのでしょう。社員旅行も毎年新しい期が始まるタイミングで行っているといいます。

「今年で33期目になりますが、うちは毎年、社員旅行『観楓会』から期が始まるのが慣例になっています。私も入社してから10年、行けなかった年もあるのですが、ほぼ毎回行っていて。ここに藤城建設が積み上げてきた33年間の縮図があるように思うんです」

「苦楽を共にするメンバーと一泊という長い時間を一緒に行動するというのは、コミュニケーションの濃度としてもとても濃い」と語る川内さん。最近では時代的に軽んじられている傾向もありますが、やはり意義深いものだと実感しているそうです。

「普段は大工さんに会わない職種の人も、そのときばかりは一緒にご飯を食べたり、バスで隣あったり、アトラクションをしたりする。家づくりって、最終的にはみんなで協力してやるものなので、割と大事なポイントじゃないかって。大工さん、普段私のことを『玄太』って呼ぶんですけど。『川内社長さん』とか呼ぶような関係だったら、ちょっとやりとりも変わってくる気がしていて。それが結果にも出ちゃうと思うんですよね」

こうした部分を大切にしているのも、企業文化を醸成し、顧客も社員も根づかせる魅力となっているのでしょう。

 

「それをひとくくりに『コミュニケーションの重要性』みたいに言ってしまうと少し浅いような気がするのですが、人のことをよく理解するには、それだけ長い時間かけるということを年に一度くらいするのは悪いことではないように思います」

社長に就任されて、今後は採用も増やしていきたい考えがあるようですが、「人を駒として見ることはできない。1人入ったらその1人をしっかり一人前に育てて独立できるぐらいのレベルにしなければ」という思いも。急に増やしても社員育成に手がまわらなくなってしまうということで、各部署に1名ずつ、毎年3名くらいまでの採用を見込んでいるといいます。


藤城建設のホームページには、自社で建てたスタッフの自邸の数々が紹介されている。自社の家づくりに自信をもっていることがお客さまにも伝わる良いしかけ(クリックすると別タブでページを開きます)



トップランナーたちと競うコンテストを社の道しるべに

藤城建設を語るうえで忘れてはならないのが、LIXILメンバーズコンテストをはじめとした受賞歴です。高価格帯ではない「ゆきだるまのお家」もこれまで数々の受賞を受け、その内容が対外的に評価されていることはお施主さまの信頼につながっています。

川内さんが設計をした家でLIXILメンバーズコンテストに初めて応募されたのは、2017年のこと。73坪の土地に建てた25坪の平屋は、川内さんの自邸です。そのこだわりは、「小さくても豊かで美しいプロポーションの平屋」。平坦になりすぎず、小上りや小下がりを上手にとり入れた居心地のいいわが家は、その年の新築部門でエコロジー賞を受賞しました。


LIXILメンバーズコンテスト2017でエコロジー賞を受賞した川内さんの自邸「玄杢舎」。25坪の平屋には、その限られた空間を思わせない豊かさが感じられる(クリックすると別タブで画像を開きます)

「LIXILメンバーズコンテストの審査員には伊礼先生もいらっしゃいますが、その自邸を機にご縁ができて、今でも毎月のように会っています。賞をいただいたときにちょうど私の隣の席にいたのはエコワークスの小山社長だったんですが、別の賞でも一緒になりました。賞に応募すると、やっぱりトップランナーというか、自分たちよりも相当レベルの高い人たちとの出会いも多くて、やればやるだけ知り合いも増えるんですよね」

人との出会いもコンテストに挑戦する醍醐味だという川内さん。また、評価によって家づくりの方向性を示してもらえるところも応募し続ける理由だといいます。

「LIXILメンバーズコンテストも、トレンドじゃないけれど、時代に合っていないものは簡単にバーンと切られるじゃないですか。逆に、これからはこうなっていくべきだという方向性のものが選ばれているのも受賞作に表れていますよね」

コンテストに挑戦していくことを、藤城会長は「他流試合」と表現するそう。そこで違うやり方をしている他社と切磋琢磨をして、大きな学びを得る機会になっているようです。

「コンテストを介して私自身のスキルもやっぱり上がってくるし、それをくり返し行なうことが答え合わせにもなっていて。このネタってどうなんだ?と応募して、賞に選ばれると間違ってはいなさそうだな、とか。ただ、チャレンジというと飛び抜けた突拍子のないこともやりたくなるものですが、そうじゃないんですよね」

コンテストに応募する作品に関しては、「あくまでお客さまに提供する家」「お客さまに欲しいと思ってもらえる家」であることを社として心がけているそう。

「私も、お客さまの家を建てる一社員なので。お客さまが求めていないことをいくらやっても、商売にならないんですよね。それで選んでもらっても、役に立たないんです。コンテストに選ばれると同時に、お客さまにも欲しいと思っていただけるものでないと。ここ最近はだいたい2000万円台のごく一般的な客層のスタンダードなもので応募しています」

けして高額ではない家の設計でも受賞を重ねているのが藤城建設のすごいところ。社としては1億円越えのお宅も手がけていますが、それはあえて賞には出さないといいます。

「応募するコンテストは選びますね。ただお金をかけたような家が選ばれていたりするのは嫌なので」という川内さん。そこでLIXILメンバーズコンテストを選んでいただいているのも、うれしい限り。昨年度は見事ベストエコロジー賞に輝いています。


LIXILメンバーズコンテスト2023のベストエコロジー賞に輝いた「多雪地域でも冬に発電する家」。雪が降り積もる冬の北海道でも、創エネが期待できる壁面太陽光発電パネルを施工。日射獲得のための窓の配置計画なども高く評価された(クリックすると別タブで画像を開きます)

賞に応募するときには審査員の顔ぶれもチェックするそうです。

「まずは審査員の顔ぶれを見て、半分戦略になるんですけど、その人たちにハマるプレゼンってなんだろうと考えながら応募しています。でも、その人たちにハマらないものは、きっと世の中にもハマらないんじゃないかなと思うところもあって。審査員はどこも曲者ぞろいなのかもしれないですが、お客さまもある意味、みなさん曲者ですからね(笑)。彼らを『お!』と言わせるものは、イコールお客さまにも刺さるんじゃないかなって」

審査員の着眼点や評価の先に、未来のお客さまを見ながら挑戦し続ける藤城建設。受賞が業績にもつながる実りあるものとなっているのは、そうした姿勢があってこそなのでしょう。これからも、新たな挑戦に期待しています。

【編集後記】

川内社長様とお話ししていて感じたのは、「全体最適と本質の追及」でした。施工能力のキャパシティを考えると約100棟。この物件を制約していくための歩留まりを考えると500組くらいの来場数を集める。集客方法は、現在はSNS中心とし、これを5つのアカウントで1万フォロワーくらいを維持する。商品展開も顧客ターゲットごとにラインナップしていくことで、集客・営業時のストーリーを作りやすくしておく。

これらを実現していくために、コアになる部分は「まず自分たちでやってみる。」ことを大切にされ、本質がわかった上で外部を使いながら、更に最適化を図っていく。

今後はAI活用なども進めていきたいと、まだまだこの“追及”は進んでいきそうです。(N LINKC 野口)