スペシャルインタビュー
住宅業界のトップランナーを徹底解剖

このコロナ禍、どんな営業戦略を実行しましたか?

富山県/株式会社藤井建設工業
代表取締役 藤井 雅樹さん

まったく手探りのところから始まった新型コロナウイルス感染対策も、だんだん基準のようなものができ、 ここからまた新たなステージに立とうと奮闘されているご利用者さまも多いのではないでしょうか。 株式会社藤井建設工業の藤井雅樹さんも、「最初はどうしたらいいかわからなかった」とふり返ります。 それでも今では、お施主さまから新しいお施主さまをご紹介いただく好循環が生まれているそう。 ツールなどもご活用いただきながら、お客さまにどのようなアプローチをされているのか、お話をうかがいました。

■ご活用ツール: #住宅模型#住マイルFP名人


新規の受注をストップして試行錯誤した日々

緊急事態宣言が出始めた頃は、「やっぱり、ジタバタしましたよ」という藤井さん。 藤井建設工業では建築部門のほかに土木の部門もあるため、そちらに注力することで、 一時は新規の住宅建築の受注を取りやめていた時期もあるといいます。

「状況がどんどん深刻になっていったときには、外にも出られず、新規のお客さまにお会いするきっかけも失っていました。 どうすればいいかわからないなりにも、いろいろ模索しましたが、そういうときにやったことってなかなか実を結ばないんですよね…」

最終的に至った結論は、「万人うけするものではなく、自分たちは自分たちのお客さまに力を注ごう」というものでした。 藤井建設工業が建築の分野に参入したのは、4年前。実はその最初の1棟から今に至るまで、 お施主さまがお施主さまをご紹介するような形で受注が続いているのです。

「今は、追客もほとんどしていません。どれも世界にひとつのオーダーメイド住宅ですが、 一生涯かけて守っていくものを私たちにつくらせていただいたお客さま、そのつながりこそが私たちの生命線です。 先日もお声がけいただいたばかりなのですが、もしも私たちがもっと万人に向けて情報発信をしていたら、 コストばかりかかって、その方には恐らくもっと薄まった情報しか届いていなかったはずです」

「届けたいお客さまにダイレクトにアプローチできるということが、私としてはものすごく幸せ。充実しています」という藤井さん。 建築部門は当初から、この激戦区で勝ち抜いていくためにも「今までにないものをつくっていこう」という発想からのスタートでした。 コロナ禍も改めてその初心に返り、大切にしていくべきところを見極めた時間となったようです。


最終兵器は、自社のこだわりがつまった「住宅模型」

「もちろん建築部門を始めた頃は、さまざまなことをしました。家一棟建てるくらいお金をかけてVRも導入したりしましたが、 最近ではそうしたものを使わなくても商談に至るケースが増えていますね」

そんな藤井さんがGood Living友の会に入られたきっかけは、「住宅模型」だったといいます

「この業界の方なら、特に男性はプラモデルみたいな感覚で模型に興味がある人が多いのではないでしょうか。 私もどれくらいのクオリティなのか、すごく楽しみでした。お客さまの目線で考えたときにも、 住宅模型なら『欲しいな』と興味がわくのではないかと思ったんです。私たちも最初は本当に何もないところからスタートしたので、 販路を拡大するために、まずは何か見せられるものを可視化しようというところがありました」

「VRも見ていただくと『わぁ~!』って言っていただけるんですけど、ちょっと距離感がつかめないところがあるんですよね。 住宅模型は手に持つことができるので、そのおうちの前に立っているような感覚で、お客さまの頭の中でイメージされているのがわかります」

コロナ禍のお打ち合わせでは、事前に住宅模型をお客さまのところへお届けして、手に取って見ていただきながら、 オンラインでのやりとりをすることもあるそうです。

「みなさんお会いする機会が減って、どうしたら伝わるかというのには悩まれていると思います。 住宅模型を使って、私のほうでは図面を見て、お客さまには模型を見ていただく形にすると、Zoomでもお話しがしやすいですよ」

「住宅模型は最終兵器。インパクトは相当あります。最後にバーンと出して、 お施主さまが気づいていない私たちのこまかなこだわりについても指し示しながら説明させていただきます。 そして、最終のお見積りを出す…私たちが一番ドキドキする瞬間です」

住宅模型を使ってお客さまにプレゼンテーションすることで、デザイン設計へのこだわりもより伝わる

かゆいところに手が届くツールは積極的に活用

お客さまが求めているものをどうやって引き出し、形にしていくかを常に模索しているという藤井さん。 Good Living 友の会では、住宅模型以外のツールもいろいろご活用いただいています。

「かゆいところに手が届くというか、充実したツールによって自分たちだけではできなかった きめこまやかなアプローチができるようになりました。たとえば帳票なども各段階でそろっているので、 よく利用させてもらっています。現場があれば、メッシュターポリンなども。 こういったものが各種そろっていることが、自分たちの心の平安にもなっていますね」

「ただ、全部を全部、使いこなそうというのではないんですよ。 そこは、会社の色や雰囲気だとか、そういうものも大事にしながら、ブランドを確立していきたいなと思っています。 うちに合っていると思うツールは、これからもどんどん使っていきますよ」

たとえば、お客さまの不安を取り除くために、住宅ご購入後のライフプランニングができる「住マイルFP名人」も導入され、 お打ち合わせでも最初の段階でお伝えするようにしているそうです。

「間取りがどうこうの前に、お借入れであればどれくらいがベストなのか、そこからどんなおうちにするかも検討していかなければいけません。 ボリュームが大きくなれば自分たちもうれしいのですが、おうちがゴールではなく、素晴らしい未来のためにおうちを建てるわけですから、 そこにお金をかけすぎて苦しくなるような形には絶対になってほしくありません。資金計画はとても重要ですし、実際にFPのツールがあることで、 とても安心感を持っていただけます」

「建てるときはみなさんすごく明るい未来だけを見られるのですが、建てて住んでからが本当の家づくりのスタートといいますか。 メンテナンスも含め、お客さまとの関係のスタートだと私は思っています」


自分たちに必要な情報には時間も割いてもらえる

「今は、感染対策でタッチレス水栓を入れたり、ワーキングスペースを設けたりする方が多いですよね。 部屋の一角にちょっとした1~2畳とか、4畳半くらいのスペースをつくったりするのが当たり前になっている風潮がありますが、 そこからもう少し将来を見据える必要も。いずれそこをつくり換えたりする新しい発想なども考えていかなければと思っています」

そうして時代の潮流を見ながらも、「情報収集は自分たちの好きなものだけ」とおっしゃる藤井さん。 顧客層が違う競合他社を調べたりするより、「自分たちを選んでいただけるお客さまに、好きなものに囲まれて、 気に入ったライフスタイルを送ってもらいたい」という思いで取捨選択しているといいます。

「お客さまも最初は、『ちょっと黒っぽくてカッコイイ男前なおうちだなぁ』というくらいで来られる方が多いのですが、 細かく突きつめてプレゼンテーションしていくと、そのこだわりの部分が並大抵じゃないということがわかっていただけます」

「目指しているのは、『ああ、ここだけだよね』と言っていただけるものづくり。 本当に一棟一棟、すべてお客さまの思っていらっしゃる以上のご提案をして、感動していただき、 長く住んでいただけることを大切にしています」

伸びやかで美しい屋根のプロポーションを大切にしたデザインとしっかりと外壁を保護し、 雨の侵入を防ぐ深い軒ができる屋根のある家をコンテプトにした「TETTO CASA」

藤井建設工業の建築部門は、県外の株式会社アイシーエー・アソシエイツ一級建築士事務所とタッグを組んで展開している デザイン住宅ブランド「TETTO CASA」が主軸。ひとことで言えば、「強くてカッコイイ家」だという藤井さん。 構造的な強さとともに、何十年と住んでいくための耐久性やメンテナンスのしやすさの意味も含まれます。

「ご夫婦で来られるお客さまには、よく奥さまに『旦那さまをどうして選ばれたんですか?』と聞くんです。 『優しいからですよね。でも、実は強いんですよ。私たちがつくっているものも、旦那さまと一緒です。 強いものは、強いって言わないんですよ』って」

資料請求のご連絡やメールでのやりとりの中で、「この方はうちのお客さまではなさそうだな」と思えば、 あまり積極的な営業はされないというスタンス。だからこそ、「この方こそは」と感じたお客さまには誠心誠意つくすのが藤井さん流です。

「こういう状況下でも、お会いできる方には当然お会いできるし、お伝えしなければいけない方にはお伝えしにいくことができます。 お客さまの意識もすごく敏感なので、人脈やSNSでつながっていくことは十分に可能だと思っています。 お客さまだって、自分たちが必要なもの、自分たちが必要な人のためには、時間も惜しまずに割いてくれますから。 このご時世でも、そこではしっかりと的確なアプローチができるのではないでしょうか」

「私たちも、お客さまとの波長が合うからこそ、『よし、がんばろう!』と思えるんです。 そういう方々とのおうちづくりは、もうドラマか映画のようですよ。毎度毎度、感動します!」